ある動画を見て、あまりにも良いのでブログに感想を書いておこうと思ったのですが、私がちんたらしている間に動画が非公開になってしまいました。
その動画は、「シトラン」さんという方が、みんな障害者をチヤホヤしすぎなんじゃない?ということをカメラに向かって喋っている動画でした。
シトランさんはチック症状をもっていて、動画を見ればその一端を知ることができますが、かなり大変な日常をすごされているようです。
(チック症状をもっていることはこの方の一つの要素に過ぎませんが、あえてここで言及するのは、シトランさんが当事者として、立場を明らかにして語っていることに重みを感じるからです。)
動画の内容は(私の記憶では)
・感動ポルノへの抵抗感
・障害者も人だし、クズもいる
・障害者を批判してはいけない、という雰囲気が気持ち悪い
(障害をオープンにしているYouTuberのコメント欄とか特に)
・批判されないのは本人にとっても不利益な場合がある
という感じの話でした。
特別扱いは嬉しくない
私はアルビノの当事者として、特例ではなく多様性として存在を承認されたいと言い続けてきました。
(私の主張は以下の記事などをご参照ください。)
こんな私なので、今回見た動画も私の人生の文脈で噛み砕くと、「特別扱いは嬉しくない」という話に帰着します。
何を言っても「チヤホヤされる」状態は、正当な評価をされているとは言えません。
100m走をするとき、「勉強ができなくてかわいそうだから」という理由で20mも30mも前から走らされたら、嬉しいでしょうか。
私だったら「勉強と100m走は関係なくない?」と文句を言うと思います。
そんな100m走、勝ったところで嬉しくありません。
こういうのは、合理的配慮とはちがう。
「対等」はすごく難しいけど、私は対等に扱われたいし、対等に扱いたい。
「障害者を批判してはいけない、という雰囲気が気持ち悪い」というシトランさんの感情は、多分もっと複雑なモヤモヤだと思いますが、私はそんなことを考えました。
チヤホヤを利用してもいいのだろうか
「アルビノだから」記事にしてもらえるとか、話を聞いてもらえる、ということがしばしばあります。
私はそれを自覚していて、時にはそれを武器にしようとします。
ここに私の葛藤があります。
特別扱いしないで欲しいと言いながら、一方では、特別扱いしてもらうためにあえてその「武器」を持ち出す……。
姑息なやり方なんじゃないかと、いつも考えます。
「不利益を被ってるんだから、少しぐらい得してもいいじゃん」と思える日と、思えない日があります。
アルビノじゃなくても話を聞いてもらえる人間にならなくては、という焦りをずっと感じています。
アルビノ「も」私の大切な要素の一つなので、それを切り離したいとは思っていませんが……葛藤の日々です。
嘘っぱちの言葉には飽き飽きしてる
「障害者を批判してはいけない、という雰囲気が気持ち悪い」という、その「気持ち悪さ」の正体について、みなさんはどう思うでしょうか。
障害者の発信に対して集まる、あたたかすぎる言説の数々。
自分の「本性」に無自覚な、よそ行きの「善」の顔。
弱者に理解を示す私って、なんてやさしいんだろう。
そういう、気持ち悪さ。
品のない好奇心を自覚しろ。
お前のオナニーのための道具じゃねぇんだよ。
口では何とでも言えるよな。
そんなドロドロした気持ちが渦巻きます。
そしてそれは、「汚言症」という言葉が気になってシトランさんの動画を再生した私自身にも、グサグサとブーメランのように突き刺さります。
この気持ちは、どこに持って行って、どう処理したらいいんでしょうか。
シトランさんについて
シトランさんが気になった方は、YouTubeとTwitterをぜひ。
YouTube:https://youtube.com/channel/UCoAnJnX1Mv2XG7DBZo-iVTg
Twitter:https://twitter.com/jjt24527838
現時点で公開されている動画のなかで、私が好きな動画はこちらです。
自由意志への懐疑、自己責任論の批判、そもそも働く意志を持てない(削がれた)人がいること、資本主義・競争社会(生産性を求められる社会)に合わない人がいること、生まれによる格差など、ものすごい深いことをフランクに喋っておられます。
あと、これ。
Discordでお友達(?)と喋っているシーンが度々あるんですけど、豪快に笑うお友達と、つられて笑うシトランさんが最高に良い関係だなと思います。
あと「パンダ語録」がめちゃくちゃかわいい。
このブログ記事は非公開の動画の内容に触れているため、シトランさんご本人に承諾を得て公開させていただきました。
シトランさんありがとうございます。
追記(2021/7/23)
当該動画が再度公開されたようです。
こちらに動画へのリンクを貼っておきますので、関心のある方は元動画をぜひご覧ください。
itoi
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