こないだ、美容室にカットとパーマをしてもらいに行きました。
経験のある方はご存じでしょうが、パーマってとっても時間がかかります。
私の場合は、トータルで3時間くらい。
髪の毛を切ってもらったり、薬剤を塗ってもらったりしている間、みなさんは何をして過ごしていますか?
私は、いつもインタビュアーばりにスタイリストさんに質問しまくっています。
今回は、「メモしたい!」と思うくらい興味深い話を聞けたので、備忘録としてブログ記事にしてみました。
ちなみに、話を聞いたのはカット7000円の美容室(高いけどめっちゃいいお店)の店長さんです。
ヘアカットにも「流派」がある
始めは、こんな会話をしていました。
スタイリングするときに、後ろの側のパーマをきれいに出すのが難しいんですよねー
なるほど。
でも、後ろはわざとパーマをゆるくしてるんです。
え、そうなんですか???
なんで?
後ろまでしっかりパーマをあてると、すごくボリュームが出ちゃうので!
なるほど?!考えたこともなかったです。
そういう理論とかって、学校で習うものなんですか?
いやー、学校では習わないですね!
え、じゃあ独学っすか??
こんな流れで、美容専門学校で学ぶことと、アシスタントになってから学ぶことの違い、という話になりました(この時点で既に深くない?)。
曰く、学校で学ぶのは、歴史や衛生管理、法律など。
実習で「切り方」の基礎の基礎もやるけれど、細かいことはほとんどアシスタントになってから身につけていくそうです。
美容室ごとに、師匠から弟子へ技術が受け継がれていくイメージでしょうか(これぞ「技術職」って感じでカッコイイ)。
あれ?
ということは、美容室によって「切り方」そのものが違ったりするんですか?
そうですね。
決まりってあんまりないので、切り方は無数にありますよ。
でも、大きく分けると5つくらいの流派(みたいなもの)があると思います。
流派?!
かっこよすぎだろ!!!
そのスタイリストさんが言うには、有名な美容室が5つくらいあり、そこで学んだ人が独立していっているので、切り方のスタイルもだいたい5種類ということだそうです。
ラーメン屋とかで聞く「のれん分け」のイメージですかね。
一般の人から見たら同じに見えるけど、同業者が見るとけっこう一目同然だったりするみたいです。
美容室によって「ゴール」が違う
流派の話と被る部分も多いんですけど、美容室によって、何を「良い」とするかも違うんですよ。
考え方の違いってことですか?
そうです。
美容室によって、同じような髪型でも、目指す「ゴール」が違うんです。だからそれによって、適した「切り方」も変わったりするんですね。
なるほど!
確かに、前髪を「ぱっつん」にしたいと伝えたら、ハサミで一直線にバッサリ切られたことがありました。それまでは「ぱっつん」と言っても、チョキチョキ細かく切られることが多かったので、ビックリしたんですよね。
同じぱっつん前髪でも、一直線にするのが「良い」のか、少しぼかした方が「良い」のか。
これは考え方の違い、というわけですね。
美容室を選ぶ時は、お店のテイストを見て(見てもあんまりわかんないかもだけど)、自分と店の「良い」とするものが同じか確認した方が、満足のいく髪型にしてもらえるかも、と思いました。
勉強になりすぎる。
何をもって「似合う」とするか
こんな難しい話ばっかりで、面白いですか?(笑)
いや、めちゃくちゃ面白いです!最高!
じゃあ、もっと難しい話なんですけど、「似合う」って何だと思います?
えー!難しいですね!
どんな髪型でも、その人自身が「似合ってる」と思ったら似合ってることになるのかな?
難しいですよね。
正解はないんですけど、できるだけその人の雰囲気に合わせられるよう、努力しています。
例えば同じボブヘアでも、ロックなボブ、かわいいボブ、クールなボブ、といろいろあるので、どんなボブがその人の「雰囲気」にあっているかを考えるそうです。
でも「雰囲気」って何やねんって話ですよね。
もちろん髪質や体型、骨格も判断材料ですが、「雰囲気」は、その人の性格や服の好み、職業などを参考にして掴んでいるのだそうです!
確かに、美容室では「学生さんですか?」とかよく聞かれる気がする……。
そんなところまで考えて髪の毛切ってるとか、めちゃくちゃプロじゃないですか?!(※プロなんです)
「今日は他の用事ないから、スウェットとジーパンでいっか~!」みたいな感じで適当な服を着て美容院に行くことがあったんですが、今後はやめようと思います!
世間的には、美容師は無駄話ばかりで面倒だと思われているかもしれませんが、話を聞くのにはそういう意図もあるんですよ。
たしかに、初めて行く美容室では毎回職業とか聞かれますね。
たわいもない会話にそんな意味があったとは……!
そうなんです。
何も聞かずに完璧に仕上げる美容師の方がカリスマっぽく思われるかもしれないんですが、そんなことはないんですよ。
「似合う髪型にする」なんて雲を掴むような仕事だなと思いましたが、だからこそ奥深いんでしょうね。
センスって何?
パーマを当ててもらい終わって、最後の微調整をしてもらっていると、今度は店長さんの方からこんな問いを投げかけられました。
センスってなんだと思いますか?
ええっ……センスですか……?うーん、そう言われてみると、具体的にはよくわかりません。
センスという言葉は、けっこうよく使います。
でも、具体的にどうだとセンスがあって、どうだとセンスがないのか、うまく説明できません。
そうですよね。僕はセンスって存在しないと思ってるんです。
どういうことですか?
センスがある、と言われている人は、よく見えているだけなんです。
よく見えている?
さっき、同じボブでもロックだったりクールだったりするというお話をしましたよね。それがどう違うか細かく見えている人が、センスがあると言われている人だと僕は思うんです。
つまり、センスがある人ほど、見えているものの解像度が高いと。
なぜこう切るとロックなのか。なぜこの組み合わせをするとクールなのか。その違いは何なのか。それがわかっているかどうか、みたいな。
なるほど……!
だから、センスなんて都合のいいものは存在しなくて、努力するしかないし、逆に言えば努力すればある程度身につくってことなんだと思います。
深い!深すぎる……!なんだこのいい話!
メモしたい!紙とペンがほしい!!
というわけで、スマホのメモアプリにこっそりメモしてきました。
美容師という職業は、奥が深くて、おもしろい!
みなさんにも、わくわくな学びをおすそ分けできていると嬉しいです。
itoi
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