音楽が好きだ

私はたくさんのアーティストを知っているわけでも、たくさんの曲を知っているわけでもないけど、本当に本当に音楽が好きで、好きで好きでたまらない気持ちになることがある。

そういう時の、そんな気持ちを、なんて言ったら良いのかわからない。

胸に温かいものが込み上げてきて、いっぱいになるような感じ。
いっぱいになって、もうきっと溢れているのに、止まらない。
溢れ出してもどんどん胸が膨んで、また、いっぱいになる。
もうこれ以上はないと思っても、どこまでも温かくて、自分の中でその温かさたちが重なって、嬉しさ、切なさ、熱さや何かが、倍音になって聞こえる。
そしてまた溢れてしまう。

「感動」なんて言葉ではとても表しきれない。
圧倒されるような、包み込まれるような、一緒に泣いてくれるような、何もかもぶっ飛ばしてくれるような、背中を押してくれるような、そんな、そんな、何か。


 

私にとって音楽は、心のひび割れに塗る薬のようなものだ。
栄養たっぷりで、スタミナのつく、ニンニクみたいなものだ。
頑張りたい時のブースターでもある。
とにかく、ないとダメなものだ。

音楽は、全然、不要不急じゃない。
「NO MUSIC NO LIFE」は、比喩表現じゃない。
音楽をよりしろにしていて、だから、音楽がないと生きていけない。

それに、現実問題として、音楽で「食っている」人たちがたくさんいる。
1人のアーティストの音楽が、数千人の生活を背負っている現実がある。

少なくない人たちにとって、音楽は不要不急なのかもしれない。
でも、音楽(だけじゃなくてあらゆる芸術)を生きる糧にしている人もたくさんいる。

フェスが中止になって、落ち込む人を何人も見た。

軽音楽部の後輩たちは、「京都大作戦」(10-FEETが主催する音楽フェス)に行くために4ヶ月も前から計画を立てていた。
それなのに、前日になって開催中止が決まった。
宿もバスも全てキャンセル。
その日の夜、本当なら夜行バスに乗っているはずの時間に、みんなでやけ酒をしていた。

そこに遭遇した私は大爆笑したけど、それは、どこにぶつけたら良いのかわからないやるせない気持ちを誤魔化したかったのだと思う。

今年の夏は、今年しかないのだ。


 

コロナ禍で、たくさんのアーティストが希望を歌った。
苦しみに寄り添ってくれた。
元気をくれた。
ありきたりな言葉にしかできないけど、救ってくれた。

でも、音楽はまだ、救われない。

なんなんだこれは。
なんなんだこれは。

コロナ禍で、たくさんの音楽が消えてしまった。
文化が消えてしまった。
なんとか足掻いて、いくつかの身近で大切な音楽を守る、それだけで精一杯で、それが悔しい。

だから私は、「音楽が好きだ」って、できるだけ大きな声で言おうと思う。

だって、多分、私がどれくらい音楽を大切に思っているか、偉い人たちに全然伝わっていない。

私は音楽が好きだ。

好きだ好きだ好きだ。

メインストリームの音楽だけじゃない。
出演者しか客がいないようなライブハウスの、そこにある音楽。
時代に忘れ去られても、細々と歌い続ける昭和歌手の音楽。
軽音楽部がコピーした、下手くそで楽しい音楽。
うだつの上がらないバンドマンの、どうしようもなくて最高な音楽。

全部含めて、音楽が好きだ。

コロナ禍でいくつものライブハウスがなくなった。
いくつものフェスがなくなり、ライブがなくなり、たくさんの人が音楽を封じられた。

私の好きなものを潰さないでくれ。
音楽が好きだ。音楽を守れ。音楽を潰すな。

ちゃんと言わないと、全然、本当に全然、伝わっていない。
社会にも、政治にも。

声をあげれば届くのか、そんなことはわからない。
政治が全部解決してくれるわけじゃない。
でも、政治にしかできないことがある。

だから私は、「音楽が好きだ」って、できるだけ大きな声で言う。
伝わるように、何度でも言う。

音楽が好きだ。

音楽が好きだ。

好きだ好きだ好きだ。

 

 

時代を変えるのがロックバンドの
お・し・ご・と

いつやる? 今だよ

誰がやる? 俺だよ

1、2、3…
爆弾ジョニー『なあ~んにも』より

爆弾ジョニー 『なあ~んにも [Music Clip]』


itoi

コメント

タイトルとURLをコピーしました