2017年、大阪。
府立高校の3年生だった女の子が、地毛の黒染めを強要されて精神的苦痛を受けたとして、約220万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。
話題の「ブラック校則」
大阪での「黒染め強要訴訟」以来、
いわゆる「ブラック校則」が世間で注目を集めるようになったと感じています。
ブラック校則とは
一般社会から見れば明らかにおかしい校則や生徒心得、学校独自ルールなどの総称
(出典:「ブラック校則とは」,「ブラック校則をなくそう!」プロジェクト,2020年2月3日取得,http://black-kousoku.org/ブラック校則とは/.)
と定義されています。
「ブラック校則」という名前の書籍もコミックもドラマも映画もありますし、この言葉を聞いたことがないという人は少ないでしょう。
ニュースなどでも幾度となく報道されてきました。
実際に「ブラック校則」を経験したという人も多いと思います。
例えば
・髪色は黒でなければダメ
・黒タイツ禁止
・ヘアアイロンの使用禁止
・ワックスの使用禁止
・ツーブロック禁止
・水筒の持ち込み禁止
・日焼け止め・リップクリーム禁止
挙げれば切りがないほど、色々あります。
憲法に違反してるんですケド……みたいな例もたくさんあって
「こんな校則はひどい!」
「ブラック校則はやめろ!」
と声を上げてくれる人もたくさんいます。
こないだも「4時禁」というのがちょっとした話題になりました。
授業が午前中に終わって早く帰宅した生徒に、午後4時まで外出を禁じる決まりがあるそうです。
校則は誰のものか
こんなふうに「この校則はアリか?ナシか?」みたいな議論が、いろんなところでされています。
学校に通う子どもたちの人権を守るためにも、すごく大切な議論だと思います。
私も校則に疑問を抱き続けてきたので、今のこの社会の流れが嬉しくもあります。
でも、「この校則はアリか?ナシか?」というその議論は本来、学生が学校でやるべきものです。
もう少し言うと、学生と保護者と教員が学校でやるべきものだと思います。
「学校は実社会の縮小版」なんてよく言ったりしますが
それなら「校則」は「法」の縮小版です。
法は、誰かに押しつけられるものではなく、自分たちで作るものですし
自分たちで時代に合わせて変えていくものであるはずです。
だから
憲法を変えるための決まりや制度
法律を変えるために決まりや制度
もきちんとあります。
でも、「校則を変えるための決まりや制度」がある学校って、果たしてどれくらいあるのでしょうか。
「校則を変えるための校則」は、あなたの学校にあったでしょうか?
「ブラック校則」って何だろうか
ブラック校則の最もブラックな部分は
「自分たちで作り、議論し、必要であれば変えていく」というプロセスを奪っている
というところにあると、私は思っています。
校則は、正しいプロセスを踏めば正しく変えられるものでなければいけないと思うのです。
ブラック校則に立ち向かう中高生はたくさんいます。
しかし、中高生が民主主義のプロセスに則って校則を変えようとしても、その努力は報われません。
中学や高校を出て、ちょっと離れたところから学校を眺められる私たちがするべきことは何か。
それは、正しいプロセスを踏んだ生徒の努力が報われる仕組みを整えること。
そして、そのための議論をすることではないかと私は思っています。
外野から「その校則は間違っている!」と割って入りたくなるかもしれないけれど
憲法やら法律やらを並べて痛烈に批判して完全論破したくなるかもしれないけれど
それで校則が変わっても
生徒たちはプロセスを奪われたままですよね。
おわりに
ブラック校則は、子どもの命を奪ったことがあります。
どこぞの高校の校則がブラックだろうがホワイトだろうが自分とは関係ない、3年ぐらい我慢すればいいじゃん、学校なんてそんなもん―――そう思っていると、子どものSOSを見逃すかもしれません。
こうした悲劇を繰り返さないためにも、校則には社会全体が厳しい目を向けていかなければいけないと思います。
そしてそれに並行して、大元の仕組みを変えていかなくてはいけません。
そうでなければ、「校則」はいつまで経っても本質的にはブラックなままです。
そしてそれをするのは、大人の役目なんじゃないかな、と私は考えています。
できることからやっていきたい。
あなたの知恵も貸して欲しい。
みんなで考えたい、大きなテーマのご紹介でした。
有料記事ですが、この記事がとても良いので最後に載せておきたいと思います。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14279647.html?iref=eve_articlelink01
無料で読みたい方は図書館などで
朝日新聞2019年12月2日(月)夕刊(東京)の1面を探してみてください。
itoi